悲劇か喜劇か
「アナタの幸せは、私たちの考える幸せとは異なっている」
去年、知人に言われた言葉を思い出す。
それを聞いた時に何処か、救われたような気すらした。
“自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの幸福と観念とが、
まるで食いちがっているような不安、自分はその不安のために夜夜、
輾転し、呻吟し、発狂しかけた事さえあります。
自分は、いったい幸福なのでしょうか。”
読書とは、著者との対峙だ。
文豪と呼ばれたり、天才と呼ばれる作家も皆、
人間だったのだ。
作中の共通点を見つけては「この本の主人公は私だ」
などと傲慢に物事を捉えそうになる。
『人間失格』。
自分にはネグレクトの過去や、愛するヒトとの心中を
経験した過去などないが、この本に惹かれたのは
どこか自分の過去を当て嵌めていたのかもしれない。
絶望に瀕したときに我々日本人は、一体何を信じればいいのだ。
何者かに問う。信頼は罪なりや。